皆さんこんにちは
2020 年春からライターの仲間入りをさせていただくことになりました、”あいりつん”こと清水愛梨です。
(プロフィールはこちら:発信力抜群のスポーツ栄養士 清水愛梨)
さて、気づけばもう4月、新生活がスタートし、新しく部活動に入部する方もいれば、 コロナウイルスの影響で試合が延期や中止になり、 ばたばたとしている方も多いかと思います。
そんな今の時期におさえたいのが コンディショニングとも言われる”体づくり”
体が資本である選手にとって”体づくり”は、 これからの部活動の練習や試合などに向け、ベースをつくるために重要となります。
では、“体づくり”をするためには どのようなことを意識すればよいのでしょうか。
私からは食事面についてご紹介したいと思います。
目次
食事が体づくりに繋がる理由
体づくりには、日常の生活活動が大いに関係してきます。
朝起床してから就寝するまでの間、 生活に欠かすことができない行動の一つ一つが 今のあなた自身の体を作り上げています。
睡眠を十分にとることができなかった翌日は 疲労が蓄積され、体のだるさを経験した方も多くいるのではないでしょうか?
その生活活動の中でも食事は、1日に3回も繰り返され、 食後直後~何年後かの体を積み重ねて作り上げていく重要な行動です。
食事で取り込んだ食べ物を消化・吸収することによってはじめて体を正常に機能することができます。
反対に食事を疎かにすると、体が正常に機能せず、 風邪、疲労の残存、判断力低下などプレーをする上で不利になることを引き起こし、良いプレーどころか怪我につながってしまいます。
自分の体に合った内容にシフトすることよって体の調子を上げ、 体づくりに繋げていくためにも、これまでの食事を見直してみましょう!
体づくり① 腸内環境を整える 〜食物繊維の効果〜
最近、CM などで 腸内環境を整える作用を謳った商品をよく目にするようになりましたね。
腸内環境を整えることによって、 栄養素を吸収・合成しやすくなりったり、 免疫力が上がり感染症の予防や肥満の防止に繋がったりします。
しかし、私たちの日常では気づかないうちに腸内環境を悪化させてしまっていることがあります。
原因の一つはストレス。
新しい環境や精神的なストレスを受けると、 胃や腸へ負担がかかり、消化不良を起こすことがあります。
もう一つは、食事です。
以下の項目のうち、あなたに当てはまるものがいくつあるのかチェックしながら読んでみ てください。
- 脂っこいものを過剰に食べる
- 不溶性食物繊維が多い(キノコ類・豆類)食品を過剰に食べる
- 刺激の多いもの(辛い食べ物など)をよく食べる
- 一度にたくさんの量を食べる
- よく噛まずにすぐ飲み込む
- 食後すぐに就寝する
- 過度な飲酒をする
あなたに当てはまる項目はありましたか?
これらの項目は全て、胃や腸に負担をかけ、 腸内環境を悪化させる原因になると考えられています。
そこで、注目したい栄養素が「食物繊維」です。
食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類あります。
不溶性食物繊維は水に溶けないため、 体内で水を吸収してふくれて腸管を刺激し、便秘予防に繋がります。 ただし、過剰な摂取ではミネラルの吸収を妨げる可能性があるため、過剰摂取は控えましょ う。
一方、水溶性食物繊維には食後血糖値の上昇やコレステロールの吸収を抑制することが知られています。
他にも腸内の悪玉菌を減らすという報告があり、 腸内の善玉菌が悪玉菌よりも優位になることにより、 腸内を良い環境に保つのに役立つことが考えられます。
これらの報告は長期的な摂取によって認められる効果であり、 一度に多量摂取するのではなく、毎日の継続的な摂取が重要です。 (今回参考にした論文では食事で食物繊維を調整し、期間は 7 日間でした)
水溶性食物繊維を多く含む食材としては
ひじき、わかめ、海苔などの海藻類、切り干し大根、豆類 などがあります。
ちなみに、今回は詳しくは触れませんが、 食後すぐに就寝するに当てはまった方でどうしても食事が遅い時間になってしまう方は、 食事の量や内容で調整すると良いでしょう。
理想では、先に就寝する時間を設定し、
そこから逆算をして 3~4 時間前までには食事を済ませておくことです。
先に食事の時間を設定すると、「3~4 時間前までに食事を済ませないといけないのならば、 食後の時間から3時間経過してからでないと寝てはいけない」と考えてしまい、睡眠時間が短くなる可能性があります。 そのため、先に就寝時間を設定することをお勧め致します。
体づくり② 免疫力を高める 〜ビタミンの効果〜
免疫力は気温差や冷えなどの外的刺激、 激しい練習によって低下すると言われています。
免疫力の低下に伴い、普段は感染しないウイルスへの感染や風邪を引きやすくなったりします。
免疫力を高める方法は様々ありますが、今回は食事から考えてみましょう!
免疫力を高めるには、 先程の話でも触れたように腸内環境を整えることも重要ですが、 その他にも注目したい栄養素がこちら。
ビタミンA ビタミンE ビタミンC
この3つのビタミンには、抗酸化作用があり、 激しい練習による筋肉などの炎症を抑える働きがあります。
ビタミンCの飲料やサプリが有名ですが、 抗酸化作用はビタミンCよりもビタミンEの方が強いです。
具体的な食材として、以下のような食材があります。
レバー、うなぎ、卵黄など (β-カロテン:にんじん、しそ、にら、西洋かぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜)
アーモンドや落花生などのナッツ類、抹茶、西洋かぼちゃ など
キウイやレモン、ゆずなどの果物類、ピーマン、ブロッコリーなど
※β-カロテンとは、体内でビタミンAに変換されるプロビタミンAと呼ばれる栄養素で す。
ビタミンAは、特にビタミンAを多く含むレバーの多量摂取やサプリの摂取により、頭痛、 肝臓障害などの過剰症を引き起こす可能性があるため、基本的にサプリでの摂取はお勧め致しません。一方で、β-カロテンの過剰摂取では体内で必要な分だけビタミン Aに変換されるため、過剰症は生じないとされています。
ビタミンEやビタミンCもサプリなどで過剰に摂取していなければ、過剰症になる可能性はほとんどありません。
体づくり③ 十分な栄養を摂る 〜推定エネルギー必要量とは?〜
私たちの体は、みな同じように見えますが、 実は人それぞれ体質や必要なエネルギー量が異なっており、 自分に合ったスタイルで十分なエネルギー量を摂ることが大切です。
ここでは、体質を判定することはできませんが、 必要なエネルギー量は推定式を用いて、基礎代謝量に身体活動レベルを乗じて求められます。
簡単でよく知られているのは、 国立スポーツ科学センター(JISS)式と言われ、以下の推定式があります。
推定エネルギー必要量(EER) =28.5(kcal)×徐脂肪体重(kg)×身体活動レベル
※徐脂肪量体重:体重(kg)×(1-体脂肪率(%)÷100)で求められ、「ほぼ筋肉量」 ※身体活動レベル:基本的に練習時期で 2.00、オフ期で 1.75
是非、今すぐ計算してみましょう。
また、求めた必要なエネルギー量を 1 日の食事回数(一般的に3 回)で除し、1回の食事に必要なエネルギー量を求めると、よりイメージしやすくなりますよ。
免疫力を高めるレシピ 「アスパラとにんじんの肉しそ巻き」
*エネルギー:430 kcal
*たんぱく質:13 g
*脂質:33 g
*食物繊維:1.1 g
(摂取基準との比較:18~29 歳男性 5.5 %/日、女性 6.1 %/日)
*ビタミンA:(レチノール活性当量) 196 μg(摂取基準との比較:18~29 歳男性 23.1 %/日、女性 30.2 %/日)
*ビタミンE:(α-トコフェロール) 1.5 mg (摂取基準との比較:18~29 歳男性 23.4 %/日、女性 25.4 %/日)
*ビタミンC: 6 mg(摂取基準との比較:18~29 歳男性 5.8 %/日、女性 5.8 %/日)
・豚ばら薄切り肉:10枚
・塩:少々
・こしょう:少々
・片栗粉:大さじ1
・サラダ油:小さじ2
・アスパラガス:2本
・にんじん:1/2本
・しそ:4枚
・砂糖:小さじ2
・酒:大さじ1
・しょうゆ:小さじ2
(作り方)
1アスパラガスは根本を切り落とし、根本側から半分くらいまで皮を剥く。2 分程塩ゆでし、 水にさらしてからよく水気を切る。
2にんじんは皮を剥き、5mm 角の細切りに、1のアスパラガスは縦四等分に切る。しそは サッと洗う。 3豚ばら肉を並べて塩・こしょうを振り、2をおいて端から巻き、片栗粉をまぶす。残りも 同様に繰り返す。 4フライパンにサラダ油を熱し、3の巻き終わりを下にして中火で焼き、全体に火が通るま で焼く。 5合わせ調味料を4に加え、タレに照りが出たら火を止める。好みで食べやすい大きさに切 っても◎
まとめ
【Vol.1 体づくりのための食事】は、いかがでしたでしょうか。
体づくりには、普段の生活の中でも食事がカギとなってきます。
今回は腸内環境を整えること・免疫力を高めることに注目した内容でした。 まずは、今回例として挙げたレシピや食材を使った料理を1日1品入れることから始めて みてはいかがでしょうか。
大変な時期ではありますが、できないことを考えるよりも今だからこそできることを考え、 体づくり生活を始めてみましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
“アスパラガス”はこれからの時期が旬で、緑黄色野菜の中でも安価で購入することができる ため、一人暮らしの方やアスリートキッズの主婦の方などにお勧めの食材です。 “にんじん”と”しそ”には、β-カロテンが多く含まれています。これは体内でビタミン A に 変換され、免疫機能にも関わります。また、脂溶性ビタミンであるため、油で調理して食べる方が生で食べるよりもより吸収しやすくなります。