みなさんこんにちは。アスレティックトレーナーの川浪です。
初めて記事を書きます。よろしくお願い致します!
今回は陸上競技選手に必要なウエイトトレーニングについて紹介します。
突然ですが、ウサイン・ボルトというアスリートをご存知ですか?
そう、サッカー選手になることを夢見てその俊足を生かし、所属クラブを探しながらトレーニングを続けていたが今年1月に引退した…
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それは陸上競技を引退してからのことですね。
みなさんご存知の通り、ウサイン・ボルト選手はジャマイカ出身の元短距離陸上選手です。人類史上最速のスプリンターと呼ばれ、100m、200m、4×100mリレーの世界記録保持者であり、100mは驚異の9.58秒(平均時速37.6km、最高時速44.46km)を記録しています。世界陸上選手権大会では史上最多の11個の金メダルを獲得していますね。
そんなボルト選手ですが、身長194cm、体重は94kgあり、陸上トップ選手の中でも一際体格が大きいです。
その大きな身体を支え、かつ驚異的なスプリントスピードを生み出す秘密が大腿四頭筋(もも前の筋肉)の筋力です。
筋力を数値化する
大腿四頭筋はもも前の筋肉で、膝を伸ばす働きがあります。スプリント時には地面を蹴り、前へ進む推進力を生み出します。
大腿四頭筋の筋力の強い・弱いを測定し数値化するためには、BIODEX(バイオデックス:米国Biodex Medical Systems,Inc.製)やCYBEX(サイベックス 、Computer Sports Medicine Inc.製)などの機器を使います。
この機器で測定すると成人男性で平均200Nmあり、体重の約3倍程度です。
(Nm=ニュートンメートル、ここでは単純に何キロの強さで膝を伸ばせたか、と思ってください。200Nmは約200kgの強さです。)
それに対してボルト選手の筋力は何と500Nm‼︎(→約500kg)
ボルト選手の体重が94kgなので体重の5倍以上の筋力を持っていることになります。
(ちなみに前世界記録保持者のアサファ・パウエル選手は450Nmです。)
研究においても大腿四頭筋の筋力がスプリントスピードに大きな影響を与えることがわかっています。
(Increases in Lower-Body Strength Transfer Positively to Sprint Performance: A Systematic Review with Meta-Analysis)
もちろん、ボルト選手のパフォーマンスを支える要因は他にもたくさんありますが、大腿四頭筋の筋力が重要な要素であることは間違いありません。
今日はこの大腿四頭筋の筋力を向上させるトレーニング種目を紹介します。
トレーニングその①
大腿四頭筋の筋力を向上させる種目その①はずばり「スクワット」です。
定番かつ王道のトレーニングですが、様々なバリエーションがあり、その中でも四頭筋のトレーニング効果が高い「ピストルスクワット」を紹介します。
①ベンチ台の前に立ち片足立ちになる。上げた足は膝を伸ばして前に出す。
②身体を起こしたまま膝を曲げ、お尻がベンチ台に軽く触れるところまで下げる。
③ベンチ台には座らず立ち上がる。
※体が前に倒れてしまう場合は手を前に出してバランスをとる。
※余裕があれば、台を低いものに変える。
トレーニングその②
2つ目のトレーニングは「レッグエクステンション」です。これはマシンがないと出来ない種目ですが、高校や大学のトレーニングルームに置いてあるところも多いので、ぜひやってみてください。
やり方は座って、重りを設定し、膝を伸ばすだけ。
(マシンにやり方が書いてあることが多いです)
左右の足にそれぞれしっかり負荷をかけるために、片足ずつ行いましょう。
このマシンの良いところは「膝を伸ばし切るところでしっかりと負荷をかけて鍛えられる」ところです。
10回×3セットは正しいの?
「トレーニングのやり方は分かった。じゃあ重さや回数やセット数はどれくらいやればいいの?」という疑問にお答えします。
アメリカのトレーニング指導者の協会NSCAの教科書では、RM(レペティション・マックス:その重さで頑張ってギリギリできる回数)によって期待できる効果が以下のように記載されています。
2~5回 最大筋力の向上
6~12回 筋肥大
12回以上 筋持久力の向上
(NSCA決定版第2版、452p表18,9より)
また、セット数については以下のように記載されています。
最大筋力の向上 3~6セット
筋肥大 3~5セット
筋持久力の向上 2~3セット
最大筋力の向上と筋肥大ではあまり差がありませんね。
僕個人としては、筋肥大で12回を5セットもやると飽きてしまうので3セット、最大筋力の向上は1セットの回数が5回以下なので5セットくらいやる、という感じです。
あとは、他のトレーニングや練習との兼ね合い(時間や疲労など)によって調節すればOKです。
まとめ
今回は「陸上競技選手のトレーニング」というタイトルでしたが、スプリントスピードの向上はほとんどのスポーツでメリットのあると言えます。
これから本格的に冬季練習に入ります
目的に合わせて回数・セット数も変えて、日々のトレーニングメニューに加えてみてください。
冬季トレーニング頑張りたい選手は是非こちらの記事も御覧ください
最後までお読みいただきありがとうございました。