やれば足が速くなる! 坂ダッシュトレーニング

運動系の部活をされていた方や今現在部活を頑張っている人は一度くらいはやったことのある坂ダッシュトレーニング
陸上部にとってはオールシーズン取り入れられるトレーニングなのでおなじみですよね。
私も高校陸上部時代はグラウンドでの練習がなかなかできなかった環境にあったので坂ダッシュのメニューがとても多かったです。(下手したら週4〜5で坂トレーニングの日も・・・)
おかげでスタートの加速は割と得意になりました(割と・・・)
山縣亮太選手も高校の時に坂ダッシュをたくさん取り入れて初の全国制覇を果たせたと話していました。
日本のトップ選手も必ずと言っていいほど取り入れているトレーニングですね

そんな坂ダッシュトレーニングですが、当時の私はこのトレーニングが実際にトラックでのスプリントにどのように反映されているのか、どのように結びつけていくことが大事なのかはあまりわかりませんでした。

陸上短距離選手にとってはスピードを上げたいと思うとやはり競技場でのスプリント練習が一番であると考えるでしょう。
確かに競技場での練習であればスピードも出るので質の高い練習になりますが、同時に負荷が強くなるため、全力で何本も走りたいけどどうしても脚がきつくなり、そのまま頑張り続ければ怪我にも繋がってきます。
全力で走りつつ動きの精度を上げていきたいから数をこなしたい!なんて選手には坂ダッシュが効果的です!

主観と客観を上手く利用しよう

「全力で走る」という努力度は主観的なものであり、実際に出ているスピードは客観的なものです。
坂ダッシュであれば、その努力度に対してスピードは抑えられるので、全力で何本も走ってもスピードに伴う負荷は軽減されるので、怪我のリスクが低下します。
特にウエイトトレーニングを多く行う鍛錬期や、陸上を始めたばかりの時期は、自分の持っているパワー(地面を押す力)の「力−速度関係」が競技場のようなフラットで走る時と違うため、走りの感覚がズレてしまいます。(スピードレベルを下げ、パワーレベルを上げている鍛錬期では特に)
しっかり地面を押す感覚を着けつつスピード上げていくことで、フラットに変わった時にバラバラな動き(脚の回転と地面を押すタイミングが合わない等)にならずにスムーズに加速することができます。

速度と傾斜が重要

5度以上の傾斜のきつい坂でやれば、スタートから20mくらいまでの局面が速くなります。
さらに全体の走りにダイレクトに繋げるには、傾斜が1〜3度の坂を組み合わせることが良いです。
自分の身体の状態を確認しながら、傾斜の角度を決めて走ります。
坂を何シーズンかやっていると、

この坂で◯◯秒なら競技場で◯◯秒くらいかな!

という自分の速度の基準ができます。
そうなってくると、自分の状態を把握して「次はあの坂を何秒でどのようにして走ろう?」という1本の坂ダッシュの構成が考えられるようになります。
走り方としてはまずは全力で、次に97%、95%、90%でどれくらいかを比較・評価し、その上で走りの構成を考えましょう。
最初から動きを考えてしまうと全力なのかがわからなくなり、以降の比較がしづらくなります。
まずはシンプルに全力で!

全力の97〜95%くらいで走る方が、ピッチが落ちてストライドが大きくなり、速度が上がることがあります。
昔、リラックスして走れ!と言われたことがありますが、最初は「それじゃぁ力が抜けてスピードも落ちるじゃんと思ってこの言葉がよくわかりませんでした(お恥ずかしい話です・・・)
実はこれは正しくて、過剰な筋の緊張により収縮−伸張の繰り返し(ストレッチショートニングサイクルとも言います)がスムーズに行えなくなるのでかえって可動域と出力が落ちてしまうので、97〜95%くらいの方が緊張が抜けて効率的な動きになります。

スムーズに加速するための前傾 出力のバイオメカニクス

速度によって効率的な身体の傾きがあります。
スタートから前半の加速区間で身体が起き上がっていると前方に進むための十分な力が生み出されません。
なんとなく理解している人が多いとは思いますが、バイオメカニクスから考えることで、前傾姿勢がどれだけ大事なのかをより理解してもらえるはずです。

選手が思いっきりスタートブロックを押すことでパワーが発生し、そのパワー発揮に対して反作用として床反力が返ってきます。
我々は地球にいる以上重力を受けるので、それに抗するため抗重力という力が発揮され、一定に推進できます。
速く走るためには当たり前ですが単純にこの推進力を上げる必要があります。
では推進力を大きくするためにはこのバイオメカニクスの矢印から考えると何が必要でしょうか?
床反力をもらう角度をより水平方向に近づけること
パワー発揮を大きくすること
です。
なのでより前傾姿勢が維持できること、地面を押す筋力が必要ですね
坂ダッシュはスタートから中盤にかけての加速の練習として最適なのは、前傾姿勢かつ地面をしっかり押さないと前に進めない環境にあるからです。
そのため自然と前傾させることと地面を押すという感覚刺激を入れられます。

傾斜が強いほど前傾をかけるほうが走りとしてはフィットしてきますが、下腿の長さ、ピッチ、ストライドバランスなどにより個別性も強いため、自分にフィットする前傾を探すのも練習になります。

乳酸が出せる選手は強い!

ショート・ロングともに短距離選手は無酸素で大出力を出し続けるためには乳酸の蓄積は避けられません。
そのため、「乳酸濃度が高まった状態を維持する」ことが耐乳酸能力を高めるための刺激となります。
坂ダッシュトレーニングは上述したとおり高強度ではあるものの、速度が抑えられるので身体への負荷は少ないので有効な耐乳酸トレーニングとなります。
設定タイムでどれだけ行けるのか、同じ設定タイムで助走付きでどれくらいの差があるのか、その差を技術的な指標にします。
最大出力や耐乳酸能力が上がることで進める距離が上がるので、自分の成長もわかりやすいです。
疾走の秒数を決めて何m行けるかという内容は、選手間でタイムに差があっても課題が統一できるというメリットもありますね。
坂ダッシュのような高強度のトレーニングは、酸素の必要量に対して心肺機能が追いつかず、酸素不足は避けられません。つまり、乳酸蓄積は必ず起こります。
短距離走ではほとんど脂質が利用できない上無酸素運動なので、乳酸を蓄積させならがエネルギーを作るしかありません。要するに、作られた乳酸が多ければ多いほど生み出させるエネルギーが多いため、強いんです!
坂ダッシュの練習では乳酸がしっかり出るかどうかを確認しながらメニューを組みましょう。
もし、乳酸がなかなか出ない選手がいるならば、同じ100mの坂でもレストタイムを変えたり、フラットな道からの助走を入れるなどのパターンを変えて刺激の質や量を変えていきましょう

坂ダッシュでしっかり地面を押すには短距離用のシューズがオススメです!

迷ったらコレを買え! おすすめランニングシューズ 〜短距離選手編〜 2018

2018.06.27

坂ダッシュトレーニング チェックポイント

大前提として、坂ダッシュトレーニングを入れる前には、スピードを出すための筋に刺激を入れてあげなければ怪我をしてしまうので、平地でドリルやジャンプexなどを入れましょう。

<耐乳酸能力向上>
200mほどの坂がある場合は
個人に応じて
10秒×1本
15秒×2本
20秒×1本
などでセットを組む
距離ではなく時間がノルマなので、距離間にコーンなどを接地すると走行距離を把握しやすいです

<移行区間の対応力向上>
坂の先に平地がある場合は
スタートの坂でしっかり加速を意識して地面を押す
前傾姿勢を維持しながら平地に移行し、リラックスした走りができれば一気に加速できます
初めてやると動きがガタガタになるので平地でのスピードに乗れません。
前傾姿勢の保持が鍵になってきます
レースの前半でしっかり加速するための練習としてはとても有効です

<スタートダッシュの向上>
前傾姿勢と地面を押すことが鍵になります
前傾姿勢を保った状態でしっかり地面を押しましょう。
スタンディングでも変則でもいいと思いますが、大事なので身体が起き上がらないこと
スタンディングでスタートする瞬間にどうしても身体を後ろに反ってからスタートする選手もいますが、これは跳躍系の種目などであれば問題ないですが、短距離ではその動きは無駄です。
股関節を屈曲させて蹴り出しに必要な伸展筋を張らせることで、伸張反射で爆発的な出力が得られます。(身体を反らすとその伸張反射が十分に発揮できません)
1歩目のプッシュする力がつけられれば、スタートブロックの蹴り出しも上手くいくでしょう。

 

坂ダッシュトレーニングは内容を工夫することでたくさんの刺激を入れられます。
ただ闇雲に走るのではなく、レースの局面を考えながら走ることでその質はどんどん上がってきます。
明日からの練習で是非取り入れてみてくださいね!

最後までお読みいただきありがとうございました。
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ABOUTこの記事をかいた人

石田 佑也

理学療法士、トレーナー、インソール/ランニングシューズマイスター 自身の陸上競技経験とランニングシューズオタクの知識、理学療法士としての医学的知識を活かして、出張でのオーダーメイドインソールの作成やランニングシューズの選び方、履き方について指導。年間200足以上のインソール作成やセミナー講師など大きく活動の幅を拡大中。