みなさんこんにちは
ランニングシューズマイスターのユウヤです(@shoesmeister)
スポーツ業界において新たな道具の進化が起きています。
陸上競技や水泳などの記録が残る競技はフィジカル面だけでなく、練習方法や道具の進化も大きく関与しています。
これはSPEEDの水着「レーザーレーサー」やNIKEのランニングシューズ「ズームヴェイパーフライ」「アルファフライ」が代表されますね。
短距離においても新たな歴史が刻まれようとしています。
それが世界陸上ドーハでも桐生祥秀選手やウォルシュ・ジュリアン選手が履いていたアシックスのピンなしスパイクです。
「話題にはなっているものの、実際どんなものなんだろう・・・」
気になっている陸上競技選手も多いことでしょう。
この記事では、次世代スパイクと呼ばれるアシックスのピンなしスパイクについてとなぜ日本人を速くするのかをご紹介します。
目次
ピンなしスパイクとは?
アシックスが発表した従来のスパイクピンが搭載されていない新型スプリントシューズで、次世代スパイクなどと呼ばれています。
短距離スパイクといえば、7〜8mmのピンがついていることが普通なのだが、それが付いていないのだから驚きである。
“常識を覆す”とはまさにこのことですね。
スパイクピンの代わりにあるのはカーボンファイバー素材のフジツボのような突起であり、それが複雑に立体的に構成されている。
これがピンが地面に刺さって抜ける時間のロスすらも無くそうというのだ。
アシックスさんの考え方がエグい!!
メタライドシリーズもそうだが、「ロスをなくす」というのがアシックスの新しい考えなのだろう。
これってとても大事なことで、いかにいらないものを削れるかというのは人間にとって永遠の課題のように思う。
ピンなしスパイクで記録は出るのか?
ピンがあることだ大前提だったので、実際にピンなしだと本当に記録はでるのか?
なんて心配もあると思いますが、どうやらその心配はなさそうです。
桐生祥秀選手は世界陸上前にこのピンなしスパイクを履いてレースに出場し、10秒0台を何度も出していますね。
(AthleteNight Games in FUKUIでも10秒05で優勝しています)
そして世界陸上の4×100mリレーでアジア新記録での銅メダル獲得の原動力となる最高の走りを見せてくれました。
同じく世界陸上ではウォルシュ・ジュリアン選手が400mで予選、準決勝共に自己ベストで健闘
“ピン無しスパイクはカーブが曲がりにくいというのが弱点”なんて言われてましたが400mでもしっかり結果が出ています。
もちろん2人のフィジカルや調整力があっての好記録ですが、ピンなしスパイクで十分戦っていけることを証明してくれたのではないでしょうか?
そして重要なことがもう一つ!
この2人、単発的な好記録ではなく安定的に高記録を出しています。
このシューズがもたらす大きな効果は後述する安定的に正しい接地なのではないでしょうか?
トップ選手しか履けないものではない!
ピン無しスパイクが日本人を速くするカギになる?!
トップスプリンターが履いているスパイクは誰しもが憧れるはずです。
(私も欲しいです 笑)
しかし、このスパイクもヴェイパーフライ同様、上級者でないと履けないものなのか?
そうでもないかもしれませんよ!
ピンがないので、しっかりとした接地ができないと強い反発力をもらえません。
引っ掛けようとしてもピンが無いので後ろに流れていってしまいます。
逆に言えば、正しいフォームで接地しなければ推進力をもらえない環境にあるので、練習で自然にそのフォームが身についてきます。
桐生選手自身も、このシューズで練習して良いフォームが身につけられれば、実際のレースでピンありのスパイクを履いた時に更に良い走りができるのではないかと自身のYouTubeで話をしてくれていますね。
接地タイミングが重要な短距離においては、無理やり地面を蹴ったり引っ掛けても思うように推進力を得られません。
中高生のフォームがまだ荒削りな時期にこのスパイクで練習することで正しいフォームが身につき、怪我の防止や記録の向上が期待できます。
特にフォームや接地は無意識下で行われるので、修正せざるを得ない環境にすることが大事です。
フォームや接地が安定すれば高いレベルで記録を出し続けることも可能だと思います。
パワーよりも技術面で世界と戦っている日本人にとって、このスパイクはさらなる高速化の大きなカギになる、そう思わせてくれる存在です。
もちろん速さを求めた設計なので補強材も少ないですし、安定性も低いです。
初心者が履けば怪我をする可能性があるので、ある程度トレーニングをしていないと履くのはオススメできません。
(このあたりはジェットスプリントを参照するといいでしょう)
発売決定! その名も「METASPRINT」
本記事を書いた当初は発売未発表でしたが、2020年4月17日に発売が決まりました!
METASPRINT
アウトソールを見た限りではプロトタイプと大きな変化はなさそうですが、カーボンプレートが入ることで圧倒的な反力、推進力を得ることができます。
対象としてはある程度筋力や走技術が必要とされるフラッグシップモデルであり、MIZONOでいえば同じカーボンプレートが搭載されているクロノオニキスが同じ部類に入るでしょう。
初心者が使うってわけにはいかないが、こういったスパイクがスタンダードになってくることで、高校、大学から正しいフォームで好記録を出せる選手も増えてくるのではないだろうか。
恐らくではあるが、もう少しレベルを下げたシリーズもいずれでてくることだろう。
履けば絶対速くなるような魔法のスパイクやシューズはありません。
でもみんなが憧れ履きたくなるようなスーパーカーであることは間違いありません。
それを使いこなせるドライビング技術(フィジカル)を鍛えましょう!
次世代スパイクの動向が今後も楽しみでなりません。
最後までお読みいただきありがとうございます