乙武義足プロジェクトを支える若きプロフェッショナルの熱い想い

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みなさんこんにちは
スポコネ編集長、ランニングシューズマイスターの石田佑也です

世界リレー、セイコーゴールデングランプリ、関東インカレ、日本選手権と陸上競技の大イベントが続くので幸せな限りですが、理学療法士やトレーナーにとっても大きなチャレンジが行われています!

さて皆さん、乙武洋匡さんはご存知ですよね?
(知らない人はすぐにググって!)

この本は私が小学生の時に読んで強烈な印象が残っています

その乙武洋匡さんが最先端技術の義足を用いて歩行に挑戦するという『OTOTAKE PROJECT』

クラウドファンディングでは1800万近い支援が集まり、多くの方がこのプロジェクトを応援しています。

このプロジェクトには御本人を中心に技術者、研究者、デザイナーの方が参加してサポートを行っていますが、今回のキーワードは「歩行」
歩行に強い職種といえばそう、理学療法士です!
今回のプロジェクトには動きを観る、動きを変えるプロフェッショナルである理学療法士も参加しており、乙武さんにマンツーマンでフィジカルのサポートを行っています。
そんな大役を任されているのが内田直生さんです

理学療法士として病院勤務を経て現在はパーソナルトレーニングスタジオでのトレーナーとして活動している内田さん
理学療法士としての解剖学・運動学的な視点をもった丁寧なトレーニング指導は多くのクライアントさんから信頼を得ています。
初めてお会いしたのはまだ彼が学生の頃、4年目という若さで理学療法士の中でも最も注目されるセラピストの一人になっていました。

そんな内田さんにプロジェクトの話や働き方についてお話を伺ってきました。

内田さんと乙武義足プロジェクトについては、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の学び方・働き方発見サイトであるPOST様でも大きく取り上げられています。
こちらから閲覧できます

OTOTAKE PROJECTとは?

一般社団法人xDiversity様が、先天性四肢欠損で知られる乙武洋匡さんがソニーコンピュータサイエンス研究所の遠藤謙さんが中心に行ってきたロボット技術を用いた義足を使用して歩行に挑戦する「OTOTAKE PROJECT」
これまで歩くことを諦めてきた障害者の方に「自分も歩けるようになるかもしれない」という希望を与えることができるのではないかという思いからこのプロジェクトに賛同、チャレンジすることを決意された乙武さん。
今回使用するロボット技術を用いた義足で今後様々な動きができるようになるのではという期待と、これまで歩くことを諦めていた人々に対して「将来歩けるようになるかもしれない」という夢と希望に繋がる大きなプロジェクトです。

当初は理学療法士不在でプロジェクトは進行していたが、内田さんが現在所属するCornerWork社の代表である三宅修司さんがソニーコンピュータサイエンス研究所の遠藤謙さんの知り合いで、内田さんに声がかかり参画することになりました。

身体の障がいは現時点では障がいかもしれないけれど、10年後には障がいではなくなるかもしれない。

もし足がなかったとしても、足と同じように動くテクノロジーがあれば、その人は普通に歩くこともできるし、走ることもできる。そうなったら、足がないことは障がいなのだろうか。

きっと未来は、誰もが身体に不自由はなく、自由に身体を動かすことができるに違いない。

そうした未来を目指して、ロボティクスで人間の身体を進化させていく。

四肢のない乙武氏とテクノロジーの融合。テクノロジーと身体の未来がここにあります。

OTOTAKE PROJECT、始動です。

Sony Computer Science Laboratories, Inc.様より引用

ソニーコンピュータサイエンス研究所様のサイトにて動画も公開されておりますので、是非ご覧になって下さい

プロフェッショナルとテクノロジーが選択肢を大きく広げる

乙武洋匡さんは、先天性四肢切断という生まれつき手も足もない状態で生まれ、約42年間歩くということを経験していません。SHOEBILL(シュービル)と呼ばれる最先端の義足を使って歩行に挑戦をしていますが、膝継手にモーターが搭載されており、理論上は従来は困難であった椅子からの立ち上がりや階段歩行も可能とのこと。スゴイ・・・
そこに理学療法士という身体の動きを変えるプロフェッショナルが関わることで大きな化学反応が起きようとしている。

当初は立つのがやっとで、止まる時は転ぶことで止まることしかできなかったそうだが、現在は止まるときは疲れたときだけで転ぶことはなくなり、距離も拡大。今後は更に歩行の感覚入力を増やしていく予定
乙武氏の体幹周囲の身体感覚は非常に優れており、健常人でも苦手とするような体幹部の細かい動きを感じ取り、コントロールすることができる。(むしろ現代のライフスタイルを生きる日本人では感じ取れないレベルである)
試行錯誤の中、日々変化していく姿を最も間近で見ている彼は障害はテクノロジーの力でいくらでも変えられると確信したそうです。

内田直生
乙武さんがスタスタ歩く姿を見た時に「歩くことを諦めていた」人に、一つの選択肢として提示して勇気を与えたいです。
これは選択肢を広げるチャレンジ
結果が出るプロセスを作るために今頑張っています。
非常にシビアですが、良いプレッシャーの中で取り組めています。

理学療法士の観察眼は大きな強みである

このプロジェクトに理学療法士が参画する大きな理由がその細かい観察眼にあります。
理学療法士は学生の頃から動作を観察するということをとにかくやらされます。
最初はなんにもわからないし、経験を積んでも先輩セラピストやトップランナーの先生には遠く及ばないです。ですが、この動作観察を当たり前のように繰り返していく環境にいることで、役に立つことがたくさんあります。

内田直生
今回のプロジェクトでも、乙武さんに一番喜ばれるのは「細かい動作や癖に気がついてくれる」ことです。

理学療法士が選ばれている理由がこれなんです!
細かい動作観察を解剖学や運動学を理解した上で説明することでクライアントの納得感が違います。
これは乙武プロジェクトに限らず、プロ野球選手、モデルさんなど多くの方から「動作を細かく観てくれるから」という理由でコンディショニングを依頼されることからも、理学療法士が当たり前のように行っていることが非常に需要のあることなのだと分かります。

一度メディカルから離れたからこそ理学療法士の良さがわかる

病院での理学療法士を1年半で退職し、パーソナルトレーナーとして活動し始めた内田さん、医療機関から離れたことで改めて理学療法士の在り方を考えるキッカケになったとのこと

内田直生
1年半でメディカルという範囲から飛び出しているんですけど、メディカルじゃないところにも、理学療法士ができることってたくさんあるはずです。
可能性は無限大な気がします。
このプロジェクトもそうなんですけど、「こんなのもあるんだ!」なんて事例がたくさん出てきてくれたらいいなと思っています。

難しい部分は色々ありますけど、共通して言えることは、外でも中でも結果を出し続けることですよね

今回のように理学療法士として当たり前に行ってきたことがとても需要のあることなのだと気づけたのは外に出たからですが、それも日々勉強して観察眼を鍛えてクライアント様のニーズに応えるために努力をしていたからこそ。
結果を出し続ける、出すために動き続けることが大事、彼の表情から強い覚悟が感じられました。

クラウドファンディングは終わってしまいましたが、このOTOTAKE PROJECTを是非応援してください
今後も様々なことに取り組んでいく彼の活躍に多くのセラピスト、トレーナーが注目することでしょう。

内田直生さんのnote、Twitterはこちらから
Twitter:@1211uchida
note:note.mu/1211uchida

内田さんが現在取り組まれている内部障害向けのプロジェクトの一コマ

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ABOUTこの記事をかいた人

理学療法士、トレーナー、インソール/ランニングシューズマイスター 自身の陸上競技経験とランニングシューズオタクの知識、理学療法士としての医学的知識を活かして、出張でのオーダーメイドインソールの作成やランニングシューズの選び方、履き方について指導。年間200足以上のインソール作成やセミナー講師など大きく活動の幅を拡大中。